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2013年1月10日 (木)

本:殉死

司馬遼太郎の書いた松平容保の「王城の護衛者」を探しに古本屋に行ったときに、無意識に買った本。乃木希典の事なんか全く興味もなかったのに、なんとなく読み始めてしまい、いっきに読んでしまった。

司馬遼太郎は乃木希典の事を無能、愚将と書いている。あえて、それを疑いながら、読んでみると、たしかに愚将ではあるけど、司馬遼太郎は、この乃木希典と言う人を評価しながら、日本のこの当時の軍に対しての批判を行っているように思える。乃木希典は、司馬遼太郎も言ってる通り、もちろん明治天皇を含め、自分のミスを回りの人に助けられて大将までなった気がする。偶然が重なって、このようになった気がする。人に恵まれたけど、人に恵まれていなかったとも思える。

旅順囲戦で一万五千人の部下を失い、やっと戦略を変える事にするあたり、力で押せると思ったのかと思う。どうみても火力の違いでわかるような気がする。一万五千人ってイメージしても、球場に満席になって約三万人。その半分をイメージしたら、どれだけの人間がたった1つの囲戦で亡くなったのかと思う。そして203高地を落すまで5万人近い人が亡くなった。戦術家としてはやはり愚将ではあるのでしょう。その下に素晴らしい参謀でもいればよかったんでしょう。けど、それは乃木希典だけの問題はなく、大本営の問題でもあったでしょう。

この本を読んでいると、この時代から日本軍と言うのは、海軍は有能な士官がいたけど、陸軍は、このへんから歪んでいったような感じがする。児玉源太郎などは、もの凄い戦略家だったんでしょう。このような素晴らしい軍人が居なくなっていったんじゃなか?と思う。

この本を読んでいる途中に乃木希典の事や日露戦争の事を調べていたら、乃木希典が自決する日に撮られた写真があった。誰が見ても、この写真の異様さに気がつくと思う。奥さんの喪服は白黒だし今の時代なんでそのへんはよくわかないけど、少なくてもこの時代、写真屋を読んでこないとこんな写真は撮れないから写真家に撮らせた写真が、軍服に新聞を読んでいる写真。日常写真にしてもへん。そして、2人とも写真の方に目を向けていない。個人的には、奥さんは、乃木の自決はわかっていて、世間に顔向けできなかったから、カメラの方を見れなかったような気がする。

乃木希典と言う軍人は、回りが助けなければ、こんなに苦労しないで自決まで追い込まれる事にならなかったんじゃないかと思う。明治天皇に愛されたのも、不幸だったのかも知れない。乃木希典の気持ちを一番理解していたのは、昭和天皇だったのかも知れない。

昭和天皇も、どれだけの重しを背負って生涯を終えたのかと思うと、胸が痛む。

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