« 調子悪い | トップページ | パリッテ »

2008年5月21日 (水)

八日目の蝉

八日目の蝉
角田光代
中央公論新社
ISBN-10: 4120038165
ISBN-13: 978-4120038167

久しぶりに角田光代が読みたくなって古本の通信販売で購入してみた。今までにない角田光代の作品でした。とても静かな小説でした。

不倫相手の子供を誘拐して育てると言う話なんで、最初は推理小説のような感じかと思っていたら、全然違った。かなり泣いてしまいまいました。子供も結婚もしていない、自分にはちょっと子供に対して希和子が、薫に対して純粋な愛情をそそげるのは、ちょっとどうかなと思ったけど、それでもこの本はそれ以上に読み進める力があった。
不倫とか中絶とか、とても身近なところである話と、宗教かかった施設や誘拐とかとても遠くに感じる話。その2つの現実をリアルに描いている。読んでいると、誘拐をしているのだからどんどん絶望的になっていくし、もちろんハッピーエンドにならないのはわかる。希和子は子供を誘拐してるし、犯罪者なんだけど、不倫相手の男を恨む訳でもなく「がらんどう」と言った不倫相手の奥さんを恨む訳でもなく、薫と1日でも一緒に生きて行こうとするだけ感情移入できてしまう。

この希和子が、施設から逃げ出すとき薫に「これから私があなたに全部あげる。今まで奪ってきたものを全部返してあげる。海も山も春の花も冬の雪も。びっくりするほど大きい像も飼い主をずっと待つ犬も。かなしい結末の童話もため息のでるような美しい音楽も。」ただただ、涙があふれてきました。

最後に大人になった希和子が警察に捕まった時に言った何でもない言葉に、いっぱい涙がでてきた。
七日で死んでしまう蝉。1日だけ長く生き延びる事の不安・・・。けど、その1日は七日で死んでしまう蝉には見れない世界がまっている。生きると言う事は、不安もあるけど、その中に何かがある。1日でも生きると言う事はそうゆう事なのかも知れない。

080522

« 調子悪い | トップページ | パリッテ »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/200917/41283756

この記事へのトラックバック一覧です: 八日目の蝉:

« 調子悪い | トップページ | パリッテ »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31